「マネジメント通信」禅の効果

今回の投稿は、企業と「禅」について。最近は禅寺で企業研修を行う会社も増えてきています。その背景のは、スティーブ・ジョブズのような世界的企業のリーダーが禅の教えに高い関心を寄せていることや、禅の教えをビジネス生かすことによって、成功を収めたことなどが理由にあると考えられます。

禅を研修に取り入れる効果を探ります。

■増える企業における禅での研修

昨今は企業の研修もバリエーション豊富になり、中には自衛隊の訓練に数日間にわたって参加させることを新人に課している企業もあるほどです。
自衛隊はいわゆる縦社会であり、トップダウンの命令は絶対です。
ゆとり世代には、この絶対的な命令に従えない人が非常に多く、入社早々に会社を辞めてしまう理由にもなっています。
会社としては企業の経営理念に異を唱える社員がいると、全体の士気にかかわりますので、トップダウンの命令に従うことがいかに大事かということを身をもって体験させるために、自衛隊での研修を行っているといえそうです。
一方、禅寺で企業研修を行う会社も増えてきており、こちらも1泊2日から、もっと長い期間を研修にあてる会社も多くなっています。
その背景には、世界的に有名な企業のリーダーの多くが禅の教えに高い関心を寄せていることや、禅の教えをビジネス生かすことによって、大きな成功を収めたことなどが理由にあると考えられます。

■あの世界に名をはせる企業のリーダーも

今やアップル社のことを知らないコンピューター世代は少なく、その中でもカリスマとして知られたスティーブ・ジョブズ氏は非常によく知られた存在です。
そんなジョブズ氏は世界的に見ても、禅に強い関心を持ったもっとも有名な人物として知られています。
彼が生み出した数々の画期的な品には、禅の精神が反映されていることはあまり知られていませんが、スティーブ・ジョブズ氏が禅の教えを知り、ビジネスにおいて大事にしていたのはシンプルであることだったといわれています。

■禅による研修で経営者が期待すること

世界的なビジネスリーダーが禅に大きな関心を持ち、影響を受けたことを考えると、禅寺での研修が社員に良いのではと考える経営者が増えているのも無理からぬところです。
とはいえ、禅という修行によって社員に何を期待しているのかが気になります。
禅ではあれこれと理論を闘わせることはなく、とにかく実践あるのみを大事にしています。
会社においてこの禅の考えを実践すると、何をするにおいてもまずは理論からということで仕事が滞ったり、プロジェクトチームを組んだとしても、侃々諤々と理論を闘わせたりするばかりで、一向に手が動かないということを阻止することが可能になるでしょう。
禅寺における禅僧たちは、日常生活におけるすべてが修行と考え、朝起きてから夜眠るまで、あらゆることが修行です。
修行である以上、こうすべきという作法が細かく決められていますが、そのことに対して理屈をこねることや、もっと効率のいい方法があるのではないかといったことは一切考えません。
ただ、ひたすらに禅の教えに従って、黙々と取り組みます。
毎日同じことの繰り返しであっても、愚痴1つこぼすことなく取り組むこと、これが禅の修行なのです。
禅を研修に採用している会社の経営者が求めているのは、社員に迷うことなく仕事に取り組んでほしいということなのかもしれません。

■禅で重視するのは失うこと

禅の教えの特徴はルーズ、つまり失うことにあるといわれています。
座禅をすることによって、余計なものをそぎ落とし、本当に大切なものは何かという本質を見抜く力を養うことができるからです。
スティーブ・ジョブズ氏が大事にしたシンプルというのは、本質さえしっかりしていれば余分なものはいらない、という意味だったのかもしれないと考えると、本質を見抜く力を養ってほしいという思いもまた、企業が禅という研修を導入している理由といえそうです。